【書評・要約】日本再興戦略(著:落合陽一)を読んで。考えたこと・押さえておきたいこと

現代の魔法使いこと、落合陽一さん。

30歳という若さで筑波大の准教授として教育・研究に従事されているだけでなく、経営、アート、ものづくりと多岐に渡って活躍されている、イマを代表する若きリーダーの筆頭です。

そんな落合さんが新刊を発売されたとのことで、読んでみました!

それがこちら↓

日本再興戦略です。

落合さんはメディアへの露出も多くご存知の方も多いかと思いますので、ここでは詳細な人物紹介は行いませんが、彼が何を考えこれから何をしようとしているかという「大枠」を理解するのに、とても適している本だと思いました。

日本再興戦略とは? 概要・要約

本に書かれている内容を超簡単にすると、以下の通りです。

  • 近代化以降に得たもの、それ以前に持っていたもの(東洋と西洋の違い)を再整理した上で
  • テクノロジーがどのように社会を変えていくかを踏まえ
  • 停滞している日本の再興戦略(グランドデザイン)を描いている

本書で描かれているグランドデザインを簡単にまとめると、こうです。

  • 人口減少・高齢化というのは実は大きなチャンスであり
  • ロボット・自動運転・自動翻訳・ブロックチェーン・トークンエコノミーなどのテクノロジーを駆使することで
  • 日本は他の国より20年先に行くことができる(その仕組みを輸出できる)

描いたグランドデザインの根拠として、日本の歴史的背景やヨーロッパ・アメリカなど西洋思想との違い、テクノロジーとの親和性などを挙げられています。

また、「日本再興は教育から始まる」、「グランドデザインは実行しないと意味がない」と強調し、そのために「手を動かせ。ポジションを取れ。」という落合さん。

その圧倒的な教養と洞察力、行動力は本当に素晴らしい。

この『日本再興戦略』は、他の著書と比較すると大衆向けというかかなり分かりやすく書かれているなという印象でした。

押さえたいポイント3つ

読み進めていて、これはぜひ抑えておきたいなと個人的に思ったポイントがあるので、紹介します。

「欧米」という概念は幻想


停滞している日本を再度復興させようという論調はこれまでも色んなところであったかと思いますが、大事なのは明治時代は昭和初期における「再興」とは本質が違うということ。

当時はヨーロッパやアメリカに倣え追いつけという近代化・中央集権化を志向した流れでしたが、これからは脱近代・分散化の時代。

情報の非対称性が前提で築かれた社会システムは、当時はうまく機能していたかもしれません。

でも、今となってはいたるところで「歪み」が生じおり、だからこそ、近代化前後で新たに得たものや今だからこそ適応すべきものを見極めることが大事だと、落合さんは言います。

「欧米」という幻想を追いかけようとするのは間違いで、このバイアスを解かずに日本再興戦略は語れません。

そもそも「」と「」は全然もので、いつの時代のどの国のシステムか、というのが重要。

大学:設置は欧州式、資金運用は米国式
法律:刑法はドイツ、民放はフランス、大日本帝国憲法はドイツ、日本国憲法はアメリカ

といった具合。

時代が変わりつつあるのにシステムだけが形骸化して残った、いわゆる手段の目的化が進んでいるみたいです。。

日本の統治スタイルと宗教


日本では、大化の改新によって、天皇制を確立し統治者と執行者(官僚)を分けたスタイルが出来上がりました。

そしてその統治構造は大きく変化しないまま現在に至っています。

他国は王位争いを数百年前まで行なっていたのに対し、かなり先を行く統治スタイルを確立していたのです。

また宗教においては、国によって天皇は神の子孫という神話を編纂しているにもかかわらず、天皇一神ではなくあくまで多神教だという点が興味深いです。

明治から昭和初期にかけては、天皇一神教的な統治スタイルを志向しますが、結局戦後は戻ってしまったようです。

つまり日本は、政治の執行者と統治の主体(精神構造の主体)を分離しているのがどうも合っていそうだと。

また、明治以前、特に江戸時代は日本でも地方自治・非中央集権的な分割統治スタイルが反映し、これも日本に向いていたと言えます。

落合さんは「日本はブロックチェーン的な国家だ」とおっしゃっていますが、まさにそうだなと。

これからの時代の流れは、日本のもともと持っている風土というか文化というかスタイルと、すごく親和性が高いのだろうと思われます。

テクノロジーの進歩


日本の再興を考えるにあたって、テクノロジーの論点は外せません。

日本における近代化・中央集権化の歪みが生じてきている一方で、その解決手段となりうるテクノロジーは日に日に進化を遂げています。

あらゆるものが自動化され人の負担が減ってくると、都心に住むメリットも相対的に弱まりそうです。

特に、自動翻訳と自動運転は着目すべきテクノロジーだと感じたので、ちょっと紹介します。(ブロックチェーンは言わずもがな)

自動翻訳

グーグル翻訳なども数年前と比べると格段に使いやすくなっています。

「誰が、何のために、何をするのか」を明確に書けば、翻訳は精度高く可能なのだそう。

もし自動翻訳が使いこなせないのであれば、それは使い手が対応できていないだけ。

論理的に話したり書いたりできれば、機械は翻訳可能なのだそうです。

自動翻訳がなされないということは、考えがまとまっていないという意味合いと近しくなってくるのでしょうね。。

自動運転

5Gが本格的に普及し、自動運転車においても遅延がない通信が可能となると、情報の処理はサーバー側で可能となりますし、さらに車体間でもコミュニケーションが可能となります。(今の自動運転技術は、未だオフライン)

自動運転が本格的に広まると、移動という概念が大きく変わると落合さんは言います。

車に乗るという感覚は薄れ、仕事や睡眠、居住といった、ライフスタイルに密に関わるようになっていくかもしれません。

また、都心から離れたところに住む人が増えたり、高齢者の移動が楽になったりと、恩恵は計り知れません。

日本再興戦略を読んで考えたこと

落合さんの目指すべき日本の姿、グランドデザインに触れて、考えたことをつらつら書いていきます。

標準化的な教育の是非


まず教育。

義務教育のような、標準的な人を育てるような教育スタイルは、時代錯誤となるのかなと感じています。

マス生産、マス消費の時代が終わり、いろんなものがパーソナライズ化されて行く中で、教育こそパーソナライズ化して多様な人を育てた方がいいに決まっています。

「個性を大事に!」なんて叫ばれていますが、ここも中央集権化の歪みからきているのでしょうか。

いじめ問題も、根底には「標準化」があると思っていて、これも中央集権的な考え方と密接に関わっているはず。

ただ、日本の義務教育精度がすぐに変わるとも思えないので、習い事なんかもうまく活用しながら教育をいていくのが大事なのかなと思っています。

受験というのも、たまたまこれまでは正解であったかもしれないけど、これからは正解の一つくらいになるでしょう。

今まで学歴に頼って生きてきた人は、それがたまたま既存のルールと相性が良かったってことにいつか気づくはず。

地方分権の推進と仮想通貨・トークンエコノミー


日本はもともと地方自治的な統治スタイルが性に合っているというのがよくわかったので、もっと地方分権の流れが進むと嬉しいです。

鍵となるのはトークンエコノミー。

地方自治にとって大事な財源を、中央に頼らず確保できる可能性があるからです。

本書にもありますが、トークンエコノミーの本質は「将来価値を現在価値に転換できる」こと。

そのトークンエコノミーの先導役が話題の、ビットコインに代表される「仮想通貨」ですね。

これが実用的に、決済手段として使えるようになると、トークンエコノミーは一気に加速するでしょう。

特に、日本人はビットコインの最大の保有者。

投機目的だけでなく、その本来の役割まで理解して、ビットコインを育て守って行かないといけない、それが日本再興にもつながる、ということを落合さんはおっしゃってて、すごく興味深い。

仮想通貨の先のトークンエコノミーの浸透まで見据えて、僕はビットコインをはじめとする仮想通貨について、積極的に応援したいし利用したいし理解したいし広めたいと思っています。

これからの働き方


これからの時代、仕事のポートフォリオマネジメントが大事だと言います。

一つの会社で勤め上げるのではなく、複数の仕事を担い、いろんな人や会社と関わるようになる、と。

本書の中で、大企業のホワイトカラーおじさんをベンチャーへ流すと良い、という話があったのですが、個人的にめちゃくちゃ賛成です。

今は人材の流動性が低過ぎて、適材適所が間に合っていません。

経済が成長していた時なら、一社に勤め上げた方がその会社のことをよく知っているしコミットメントもあるし良かったのかもしれませんが、、、

技術発展のスピードが上がって、縮小経済になると、一社の中だけでは適材適所できなくなってきているように感じます。

大企業のホワイトカラーおじさんのような人こそ、守りが必要なベンチャーで力が発揮されるべき。

副業・兼業の動きがもう少し加速してくると、人材の流動性も一気に高まる気がしています。

まとめ・感想

『日本再興戦略』を読んで、落合陽一さんの目指している方向性や、考えていることの大枠、日本再興のために共有すべきビジョンなどを理解することができました。

そして、結局、この流れの速い時代では先読みなど当てにならず、とにかくやってみないと始まらないという事実にも納得です。

落合さんは大学の先生をやっているわけですが、学生に投資する理由が、かっこいい。

「教育して仲間を作らないとグランドデザインを実行することはできない。時代の変革は教育から始まる」と信じているから。

引退してからでなく、若いうちから教育に携わることで、一緒に時代を変えて行くことができる。

描いているものの大きさに、最後まで圧巻されました。

国のグランドデザインのような最上流の構想って、絶対に多数では描けないという気がしていて(尖った部分が削れて丸まってしまうから)、でも一人で描くにしても、歴史的背景や経済的な教養やテクノロジーの知見や文化・アートの素養や、、、などなど、かなり幅広い領域について、深く理解していないと描けないものなんじゃなかろうか。。。

そんなことができる若者は、現代においては「落合陽一」だけなんじゃないかなと本気で思っています。

こんな人そうそう出てこないよ。

これからも注目していきたいし応援したいし力になりたいですね。

も彼の考えていることやビジョンが正しい形で世に広まることは、日本にとっても良いことだと思います。

最後に、本書の帯にもなっている、落合さんが発信されたTwitterでのメッセージを引用して締めます。

ポジションを取れ。批評家になるな。フェアに向き合え。手を動かせ。金を稼げ。画一的な基準を持つな。複雑なものや時間をかけないとなし得ないことに自分なりの価値を見出して愛でろ。あらゆることにトキメキながら、あらゆるものに絶望して期待せずに生きろ。明日と明後日で考える基準を変え続けろ